My Dear 上司s(Bosses)

部下Zによる自慢の上司、不満の上司、妄想の上司を綴ったもの。

お尋ねメールには、とりあえずの1行でいいから返信を。 #残念な上司

マイペースな上司を持っていた時、緊急の出来事への対応指示を仰いでいるのにスルーされて困ったことがあった。

まず、その上司はメールの返信がとても遅い人だった。

さらに、上司の中でOKであれば「Yes」とも「No」とも返さず、自己完結する人だった。

この上司のおかげで、私はストレスから夜中に家で吐く羽目になったことがある…

残念な上司、決裁書不備のまま海外出張へ

それは、上司が2週間に及ぶ海外出張に出ていた時のこと。

ある朝、経理から「この決裁書は通せない」と書類を突き返された。その決裁書は、上司が出発前日の夜中に完成させたもので、課内の誰のチェックも入っていなかった。

「金額が000になっているんですよ。これでは通せません」

呆れた声で突き出された決裁書を見ると、確かに金額欄が000円になっている。

時は月末。その決裁書は翌月1日から始まる契約に関するもの。

建前上、経理は月を跨ぐ処理はやりたがらない(実際には日付を戻してハンコを押すことが常態化)

「申し訳ありません!すぐに上司に確認します」

「あ、でも、上司さん出張中でしたよね…」

「そうなんです…時差がありますが、とりあえず今ならまだ就寝前だと思うので、メールを送ってみます」

経理担当者に平謝りし、私は状況を説明するメールを投げた。件名には、【決裁書に不備あり】と角カッコで目を引くように書き、同行していた他のメンバーもccに入れておく。

この上司はメールのチェック自体遅いタイプで、上司だけを宛先にすると何日でも放置されかねない恐れがあったので、迷惑をかけると分かりつつも、同行者に一縷の望みを託すのが最善と思っての予防線。

即対応を求められているこちらの緊急度を、上司が組んでくれますように。

両手を組んで目を閉じて。

賽は投げられた。

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上司、権限のない人間に「これじゃダメ?」と投げてくる

迷惑かけてごめんなさい、と心の中で手を合わせながら無理やり巻き込んだ同行者の機転で、日本時間の翌朝、上司から返信が来た。

連絡ありがとうございました。日付をちゃちゃっと変えて帰国後に出し直すから大丈夫です。それじゃダメですか?

上司

上司…日付をちゃちゃっとはともかく、「それじゃダメ?」と私に聞いても意味がないでしょう?私は経理担当者じゃないし、その決裁書の案件には関わっていないんですから。

「日付変えて対応します~。それじゃダメですか?(いいって言って?)」

というお願いは、本件の経理担当者に直接連絡すべきでは?私はいきなり巻き込まれたただの伝書鳩。「ダメです」とも「仕方ないですね」とも、言えない。そんな権限は持ってない。

ホントに大丈夫なのかな…と半信半疑で目を眇めた時、経理担当者がやってきた。

「上司さん、連絡つきました?」

「あ、はい。月を跨ぐことにはなるけど、日付をちゃちゃっと変えればいいだけだから、と」

経理担当者の眉根が跳ね上がる。

そりゃそうだ。本来なら、今日、新しい月の1日から有効になる契約の決裁書なのだから。

「月跨ぎでちゃちゃっと、ですか」

「すみません…」

なぜにここで私が肩を竦めて平謝りしているのか。上司…すべては貴方のミスですよ!

「それじゃ困るんですけどね」

「そう、ですよね…その旨、上司にもう一度連絡します。本当に申し訳ありません」

経理担当者は物言いたげな雰囲気だったけれど、部外者(上司の率いる課員ではあっても決裁書担当ではない)の私に文句を言っても仕方がないと思ってくれたらしく、それ以上は何も言わなかった。

経理担当者の後姿を見送りながら、私は即座に上司に返信を打つ。

上司、

日付を変えて対応する旨、経理担当者に伝えましたが、それで問題ないかどうかは私には判断できません。ご確認をお願いします。

部下Z

上司の出張先は、夕方。まだ業務中か、終わって夕食会場に向かっているか、ホテルに向かっているかのどれか。上司は会社支給のスマホを持っているし、そこには会社アドレス宛てのメールが転送される。

だから、上司が私からの確認依頼メールを見れば、直接経理担当者に連絡を入れるだろうと、私はごく自然にそう思っていた。

勝手に解決済みだと判断して、上司は肝心なところで放置する

確認依頼のメールを送って1時間半後。

険しい表情の経理担当者が、また私の席にやってきた。

「その後、どうなっていますか?上司さんから連絡ありましたか?」

「先程、お話を伺ってすぐに上司にメールを送ったのですが、まだ…返信が来ていないのです。本当に申し訳ありません」

経理担当者の口元が引き攣るのを見ながら、私はただひたすらに謝罪する。(上司…上司…上司~~!!!!)

「もう一度、確認のメールを送ります。私の方にも返信がありましたら、すぐにお知らせします!」

深々と頭を下げて経理担当者を見送り、私は鬼の形相でPCに向かった。

今回は、To宛先に上司だけでなく同行者のアドレスを全員分ぶち込む。同行者と上司の全員が一緒に動いているのか、一部は別行動なのかは知らないけれど、【要対応】の件名と内容を見れば、誰かが「上司さん、対応しました?」と確認を入れてくれるはず。

特に、そのあたりの配慮がピカイチで反応が速いAさんがいるので、その人に希望を託して…

件名:【要対応】決裁書に不備あり

上司、経理担当者が、不備あり決裁書の処理をどうするのかまた確認にいらっしゃいました。

日付を変えて対応する方法を取る予定であること、経理担当者に直接ご連絡いただくことはできますでしょうか。

出張中、ご多忙でいらっしゃるところ、大変恐縮です。何卒宜しくお願い申し上げます。

部下Z

怒りのバロメーターが上がれば、文体も比例してより丁寧な、よりへり下った、よりビジネスライクなものに変化する。

バカ丁寧な表現を使ってはいるけれど、本音は「元はといえば、上司自身のミス。契約が今月スタートだと分かっていながら、どうして事前に、時間の余裕をもって決裁書を出せなかったんですか?自分のミスの詫びぐらい、自分で入れてくださいよね!!!」だ。

そもそも、今日(〇月1日)からスタートする契約の決裁書を、直前に出すこと自体がスケジュール管理できていない証拠。本来ならば1週間前には出来上がっていて良いものなのだから。

しかも、ロクな見直しもせず、金額がゼロのままで本部長のサインをもらおうなどと…

経理担当者への申し訳なさと、仕事がテキトーすぎる上司への怒りで、私のハラワタは煮えくり返る。私が彼の案件のアシスタントだったり、庶務担当だったのならば話は変わってくるが、私の担当業務は決裁書を扱わないのだ。詳細は全く分からない。

ピローン

待ちわびていたメール着信を知らせるポップアップがデスクトップ下に現れ、私は光速でそれをクリックした。

ご迷惑をおかけしています!すみません!上司さん、いま経理担当者にメールを送りました。これで大丈夫だと思います。安心してください。

Aより

対応した旨を知らせるメールをくれたのは、予想どおり、上司本人ではなく私が望みをかけていた反応の早いAさんだった。

ありがとう、Aさん。やっぱり頼りになるのはAさんでした。

すみませんだなんて、決してあなたのせいではないのにっ!!謝らないで~~

上司はというと、日本時間の翌朝に「なんかイロイロ大変だったみたいで、すみませんでした」なるメールが送られてきていた。

上司の中では、とっくの昔に終わったことだったらしい。そんなところだろうと思ってはいたものの、怒りと呆れがない交ぜになってやり場のない憤りに私はしばらく震えていた。

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「一言返してあげればいいでしょう?」

後日、上司より少し早く帰ってきた別の同行者Bさんが、現地での様子を教えてくれた。

「部下Zさんからの最後のメールを見てさ、Aさんが『上司さん、メール返してないんですか?ひと言返してあげればいいでしょう?早く返信してあげてください!かわいそうじゃないですか!!』って叱り飛ばしてたよ。上司さん、のんびりしてるからね~(苦笑)」

Aさん…ありがとうございます(TT)

「その後さ、上司さんがまだ返信出してないメールとか、やらなきゃいけないけど手を付けてない作業とか、Aさんが上司さんから聞き出してToDoリスト作ってた(笑)」

上司よ…

他人にタスク進捗をヒアリングされて、なおかつToDoリスト作成・管理をされるって、あなたどんな管理職なんですか…

曲がりなりにも、知らない人がいないと言われるクラスの超大企業で。もちろん、月初始まりの決裁書を、前月月末にサンプル見ながら作成して、金額をゼロにするような人ですから、ヌケが多くても不思議はないですけどね。

ある程度の期間一緒に仕事をしていて、ありとあらゆるタスクがどんどん積み上がり、やると言ったコトも頼んだコトも何もかもが埋もれていく様子は見ていましたけれど。

役職なだけに私が手を貸せる範囲は限られていますし、私に被害が出なければ傍観あるのみと思っていたのは事実です。

それが、実際に我が身に火の粉として降りかかってきてしまったわけですが。

この事件以降、私のこの上司に対しての仕事関係の取り立ては厳しいものとなりました。

例えば、翌週火曜日が締切の作業であれば、金曜日に進捗を確認する。それも、朝と夕方の2回に分けて。

朝、「あの件、どうですか?」と聞いて「あ、そうだね。やらないとね」と答えたとしても、上司は言ったそばからそれを忘れてしまう。

夕方、「午前中にも申し上げたあの件ですが」と言って、「あっ!そうだよ、そうだね」と上司は焦った顔をする。

この繰り返し。

ここまで手取り足取りやらなければいけないのか?と思うこともあるけれど、全ては我が身の安全を確保するため。この決裁書騒動の夜、自覚していた以上のストレスにさらされていたらしい私は、夜中にトイレで嘔吐する羽目になりました。

もう二度と、この上司絡みで迷惑は被りたくない。ただその一心で、彼が手配することになっている作業のすべてを疑ってかかる日々。

上司の皆さま、部下からの確認メールには、早急に返信を出してください。「了解です」「それでOKです」の一言で問題ありません。取り込んでいて複雑な指示をすぐに出せないとか、調べないと返せない場合は、「今取り込んでいるので、明日の昼までに返信します」でも良いのです。

自分の中で「問題なーし」と思って、返信を一切返さないなど、そんな問題を宙に浮かせたままの自己完結だけは、絶対にしないでくださいませ。

迷惑をかけた部下にいつまでも恨まれますよ。こんな風にネタにされてしまうかも。